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2018.11.01 Thursday

非相続人の介護や看病で貢献した親族は金銭要求が可能に。

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    JUGEMテーマ:相続



    民法改正の続きです。
    今回も、正確な内容については、法務省の記載を確認してください。

    今回の民法改正については高齢化社会に合わせた相続制度の見直しをしていますが、この規定などはそれを色濃く意識したものですね。
    被相続人の介護や看病に貢献した相続人ではない親族にも被相続人の財産の維持や増加に特別の寄与をしたとして、金銭を要求する権利が認められるというものです。

    例えば、子供が長男、次男の二人。父親はすでに死去、母親は同居の長男の嫁が主体となって介護をした場合を考えます。
    それで、母が亡くなった時点で遺言のない場合は遺産相続人は長男、次男の二人。長男の方が介護をしていたということで多めに相続するということはこれまでにもありましたが(これまでの民法では「寄与分」という考え方が採用されていました)、長男の嫁が直接に何らかの相続をするというのはほぼありませんでした。
    夫婦なのですから、それで長男の嫁に実質的な利益がある、という結果になるのであればそれで良いのですが、今の日本は離婚も沢山あります。
    母親が亡くなったタイミングで、長男夫婦が離婚したりした場合は、嫁はかなりの不利益を被ることになります。
    腕利きの離婚弁護士でも居れば、分割協議でその寄与分を反映させることもできるでしょうが、なかなかうまくいく可能性は少ないでしょう。


    さらに言えば、例えば長男がすでに死去していた場合は、この寄与分という手段をとることさえ出来ませんでした。

    今回の改正では、その寄与分の範囲を相続権の無い親族まで拡大することで、長男の嫁も特別寄与者として相続することができるようになりました。

    そもそも、夫の両親が介護が必要になった場合、夫が介護の主体となることはほとんど無く、妻が血縁でない(相続人で無い)にも関わらず介護の主体となることが多く、そのために離職する割合も女性の方が圧倒的に多かったそうです。
    そうして離職して、介護に多大な時間と労力をとられた挙げ句に、両親が亡くなったあとは、相続権が無いために対価を受け取らず、さらに運が悪いと手に職もない状態で放り出されることになっていたのです。

    夫婦は一体なのだから、夫が余分に相続すれば同じこと……というのは、財産が「家」のものであった戦前の考え方であって、現行民法ではそもそも財産は夫婦であっても個々人のものであるという考え方が採用されています。共有財産という考え方も民法内で採用されていますが、結婚すれば夫婦それぞれが持っている財産のすべてが共有財産としてまとめられる訳ではなく、あくまで「婚姻中に夫婦が共同して築いた財産」です。

    例えば離婚の際の財産分与では共有財産には、原則として遺産相続によって得られた財産は含まれていません。


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