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2018.11.08 Thursday

遺留分と生前贈与について

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    JUGEMテーマ:相続



    今回は遺留分と生前贈与についての話です。
    この部分も平成30年の大改正で動く部分で、事業継承などと絡んで、よく考えるところです。
    毎回のことですが、正確な情報は法務省のHPを御覧ください。それと、かなりわかりやすいPDFも作っています。



    これまでの制度


    現行民法では、遺留分と生前贈与の関係については、だいたい以下の通りになっています。
    こういうケースを想定します。
    母親(被相続人) 息子2名(相続人)。
    兄は10数年前に自宅を新築する際に母から500万円の贈与を受けています。
    母がなくなった時、相続財産は2000万円。兄はこれを半分にして各1000万円の相続を主張します。
    弟は、兄が生前にもらった500万円を足して、2500万円が相続財産(持戻し計算)であり、その半分の1250万円が自分の相続分、兄の相続分は750万円であると主張しました。

    現行法では、贈与は相続開始前の1年間にしたものが遺留分算定の基礎となっていますが、判例及び実務ではこの1年間とは相続人以外の第三者に対して適用されるべきで、相続人に対する贈与は時期を問わず遺留分算定に含まれました。

    この場合、話し合いで方がつかなかったら、家裁の調停から裁判へと手続きが進んでいきます。


    改正点



    まず、被相続人が生前に行った生前贈与について、持戻し計算が認められるのは、相続開始前(被相続人が亡くなる前)10年間に限定されました。
    それによって、10数年前の贈与については遺留分の算定からは除外するという内容になっています。


    さらに負担付贈与の場合です。
    現行法でも、通常は負担付贈与の場合は目的の価額から負担の価額を控除したものについて減殺を請求できるとあります。



    そして、もう一つの改正点ですが、遺留分権者の請求権は基本的に金銭債権化されて、「遺留分侵害額請求権」として考えられます。これまでは例えば土地を市場価格よりも極端に安い価格で被相続人から譲り受けたときなど、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知っていた場合にはこれを贈与と認める、という規定がありましたが、遺留分権利者の請求権が金銭債権になったので、全て金銭的に処理することとなっています。





    改正の意図



    事業承継



    特に中小企業の事業承継などの場合、10年という期間が設けられたことで、一人の子供に事業を譲り渡すことがやりやすくなりました。また、平成30年度の税制改正についても事業承継税制の特例が創設されて、10年間の特例措置となっているので、合わせて中小企業の事業承継がやりやすくなっています。
    また、遺留分の金銭債権化のおかげで、事業の継続に必要な株式や事業用資産を分散させずに、金銭の支払いで対応することが可能になったのも大きなポイントです。



    調停などの簡便化



    生前贈与を遺留分に含めるべきという内容で調停などに突入した場合には、それまでの一生の間に、特定の子供が受け取った贈与分のすべてを計算して……という話になりますが、それは実際的には不可能でした。
    例えば銀行の取引履歴も10年間の分しか保管されていませんし、事実上、正確な算入は不可能であって、まとまるまで長期化する傾向がありました。
    しかし、生前贈与は10年間の分までと決めてしまえば、それ以前のものは計算に入らなくなり、答が出しやすくなります。

    これは申立側に不利な改正といえますが、さすがに親族間で延々と揉め続けるよりはマシかもしれません。



    本来であれば、よっぽど周りから見ても「当然」と言えるような事情が無い限りは、特定の相続人だけを優遇して、財産を生前贈与であっても、遺言による相続であっても、有利な形で与えるという事自体が良くないことです。
    基本は「平等に」なのですが、たとえ親子、兄弟であってもそうは行かないことが多いのは人間の性みたいなものなのでしょうね。




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